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自然免疫システムの隠された原始的機能を解明 ノックアウト至上主義に一石投じる(阪大)

大阪大学の石谷太教授らの研究グループは、自然免疫システムの隠された原始的機能を明らかにすることに成功した。また、遺伝子を破壊して機能を調べる方法だけでなく、可視化を使ってありのままを観察して分析する必要性も示している。

研究グループは、イメージング解析に適したモデル脊椎動物である小型魚類ゼブラフィッシュを用いて TLR-NFκB経路の活動を可視化するアプローチを行った。その結果、初期胚において TLR-NFκB経路が Wnt/β-catenin経路と同じ領域で活性化することを初めて突き止めた。

遺伝子ノックアウト法は遺伝的補償により遺伝子機能を解析しにくいことに気付き、遺伝的補償を回避できる方法で機能解析を進めた。すると、TLR-NFκB経路が Wnt/β-catenin経路の活動を適切に抑制することで、オーガナイザーのサイズひいては背と腹の境界が適切に形成されることを明らかにしている。

つまり、昆虫の背腹軸形成においては主役であった TLR-NFκB 経路が、脊椎動物背腹軸形成においては主役の座を Wnt/β-catenin経路に譲り、その活動を適切に調節する重要な名脇役となっていることが判明している。

研究グループは「遺伝子ノックアウト至上主義の生命科学研究に一石を投じるとともに、これまで遺伝子ノックアウト研究で見落とされてきた重要な生命現象を解き明かす道を切り拓くものである」と指摘している。