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近畿大教授らが長距離エアロゾル感染が企業の主なクラスター要因を解明

近畿大学の水越厚史教授らの研究グループは10日、オフィスで新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した場合に、感染経路のリスクを推算するシミュレーションモデルを構築した。このモデルで解析したところ、長距離エアロゾル感染が主な感染経路である可能性を示され、マスクの使用や換気などの感染対策の効果についても評価をした。

2021年春以降、職場で新型コロナのクラスター発生する割合が増えた。その際、オフィス全体に感染者が分布したことから長距離でのエアロゾル感染などが起こったとされたが、主要な感染経路は明らかになっていない。

そのため、研究グループは感染経路別のリスクを予測できるシミュレーションモデルを構築。エアロゾル感染と接触感染の可能性を算出した。広いオフィスで全員がマスクをしていて、クラスターが発生したケースを解析すると、2メートル以上ウイルスが飛ぶ長距離エアロゾルが感染経路である可能性が高いとされた。

マスクだけでは防げない

この場合、全員のマスク着用や換気量の増加によって感染リスクの低減に大きな効果があると明らかになっている。一方で、これらの対策のみで防ぎきれないことも分かった。

感染拡大期における感染を予防するためには、マスクの着用と換気、体内ウイルス濃度の低減のほか、感染者と接触した場合や自分が感染した疑いがある場合の外出自粛、家族との接触回避といった、包括的な対策が必須となると推察されている。

水越教授は「有効な対策をとるためには、このようなエアロゾル感染のリスクが主要になる時期を、感染動向やウイルスの発生特性の研究から、早期に見極めることが重要と考えられる」と指摘している。