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抗がん剤摂取量による小児急性骨髄性白血病治療による差はなし 再発予測因子は「MRD」が最も強力

NPO法人日本小児がん研究グループ(JCCG)は国立成育医療研究センターの富澤大輔氏らを中心として、小児急性骨髄性白血病(AML)に対する臨床試験を実施した。シタラビンの大量と通常摂取に差がないことが判明し、微小残存病変(MRD)が最も強力な再発予測因子であると突き止めている。

試験では2014年~18年の4年間実施。全国103の医療機関から0~18歳までの359人の小児AML患者を対象に、初回の化学療法コースでAML治療で最も重要な抗がん剤「シタラビン」の大量療法と通常量療法の優劣について無作為比較試験を実施した。

それによると、再発などがない3年無イベント生存率は63.1%、3年時点での生存率は 80.3%と過去に報告された小児AMLの治療成績の中でも最良の成績が得られた。一方で、初回の化学療法コースにおける大量シタラビン療法を用いた場合と、通常量を用いた場合の比較試験による優劣については差がなかった。

白血病の再発予測因子として、通常の検査法では判定が困難な微小なレベルの残存白血病を検出する、微小残存病変(MRD)4の意義を調査。その結果、過去に世界で報告された小児AMLの治療成績の中でも最良の成績が得られた。そしてMRDが最も強力な再発予測因子であることが明らかになっている。

研究グループは「MRDを用いた正確な再発予測に基づいた適切な治療選択を行うことで、治療成績の向上と晩期合併症の軽減の両立につながることが期待されている」としている。