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「イネの側根の形が決まるしくみ」時系列で明らかに 名大の研究Gが統計モデルで調査

名古屋大学の山内卓樹准教授らの研究グループは10月31日、稲の冠根から生じる側根の形態を3つの指標に分割。将来側根をつくる細胞が生じてからの時系列で回析することで、植物ホルモンの「オーキシン」を介した側根の個性の決定に重要なメカニズムの一端を明らかにした。数や幅、長さといったイネの側根が決まるしくみを、時系列で予測する統計モデルを作成した。

気候変動による稲の品質低下が課題となっており、収穫量の多い品種や乾燥耐性を持つ品種の作出が求められている。植物の側根は根茎の表面積を大きく増やす。植物種間や栽培条件で側根の形態の個性が異なる仕組みが分かれば、水分の吸収を改良するような育種に役立つ可能性もある。

側根の数や大きさはオーキシンが制御していると知られているが、稲においてはオーキシン関連遺伝子が果たす役割は明らかでない。

■作物の養水分吸収能力の強化実現が期待

研究では統計モデルを利用して側根を作る細胞が生じてからの時間に依存した解析をすることで、輸送方向を調節するたんぱく質が関わっていることを明らかにした。研究グループは「たんぱく質を適切に制御することで側根の質的な改良による作物の養水分吸収能力の強化を実現できる可能性がある」としている。