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エネルギー散逸のない超低消費電力デバイスへの応用に期待 静岡大の研究Gがシリコン・トランジスタ上で電子と正孔を同時に存在させることに成功

静岡大学の堀匡寛准教授らのチームは10月31日、シリコン・トランジスタの電気的制御により電子と正孔を同時に存在させることに成功した。そこで生じる再結合の電流から電子と正孔が近接しており、強く束縛したペア(励起子)を生成していることも発見した。英国科学誌「コミュニケーションズ・フィジックス」オンライン版で公開されている。

超低温化における励起子は量子凝縮すると超流動へと転移することが理論的に説明されており、これをデバイスに応用する研究が世界で盛んに進められている。だが、シリコン・トランジスタでは電子と正孔を同時に存在させることが困難であるため、その調査はほとんど進んでこなかった。

こうした背景から、研究チームはその方法を分析。電子と正孔をトランジスタ上で同時に存在させることに成功した。また、それらは5ナノメートルの極めて近距離にあることが分かった。その再結合過程を観察すると、ランダムで早い再結合を経て、ゆっくりとした再結合に切り替わると見いだした。

これは量子凝縮で重要となる励起子が生成されるモデルで説明することが可能である。今後さらなる検討によりシリコン・トランジスタ上で励起子量子凝縮の発現が期待できるという。