文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
森林伐採は書面崩壊の増加に通じて、土壌炭素・窒素の大きな変化もたらす 静岡大研究Gが明らかに

静岡大学の江草智弘助教らの研究グループは31日、筑波大学との共同研究で森林伐採が斜面崩壊の増加を通じて土壌炭素と窒素の移動を促進することを明らかにした。

研究では1948~2012年の計12件の航空写真を抽出した。崩壊地についてレーザー測量データを用いることで、その面積と深さを算出。土砂が滑り落ちていない、斜面の計17カ所で土壌を採取した。

それによると、土壌崩壊は林齢の若い範囲で多発しており、20年以下の空間における斜面崩壊による炭素、窒素の移動量は全体の約9割を占めていた。斜面崩壊に伴う土壌中の炭素、窒素移動量は64年間平均で、それぞれ5.8–9.3MgCkm⁻²yr⁻¹、0.5–0.9 MgNkm⁻²yr⁻¹と推定された。

研究グループは「斜面崩壊による土壌炭素と窒素の移動量が大幅に増加することを明確に示している。我々は、これらの結果が森林生態系における炭素蓄積量の予測や、急峻な山地森林域における生態系機能を向上させるための森林施業を模索する上で役立つ」としている。