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ベーリング海峡近くで低酸素・酸性化が進んだ水を確認 JAMSTEC、生態系への脅威になると指摘

海洋研究開発機構(JAMSTEC)の西野茂人研究員らの研究グループは2日、これまでの観測地を下回る低酸素で酸性化が進んだ海水をチュクチ海台で発見したと発表した。今後、生態系への脅威になりかねないという。チュクナ海はロシアシベリア北東部チュクチ自治管区と米国アラスカ州北西部にかけての海域。北に広がる北極海の一部であり、南はベーリング海峡を挟んでベーリング海に続いている。

研究チームは2020年に海洋地球研究船「みらい」で北極海の酸素飽和度と炭酸カルシウム飽和度の測定を行った。その結果、チュクチ海と東シベリア海の間に位置するチュクチ海台で、酸素飽和度50%以下で、炭酸カルシウムが未飽和な海水を発見した。

低酸素かつ酸性化した海水はこれまでシベリア沿岸域でしか確認できなかった。その原因はシベリアで永久凍土などが融解したことで有機物の供給が増えていたことにある。温暖化により融解量が増えたことで、チュクチ海台までそうした海水を運んでいるとみられる。

研究グループは「海氷減少は漁業可能海域を広げるものだが、生態系に対する脅威となる」と指摘。「同海域の低酸素化、酸性化が今後どのようになるのか。生態系への影響はどうなるのかについて監視していくことが重要としている。