文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
冠動脈疾患患者のデータを解析し、がん患者の予後調査(東北大研究G)

東北大学の安田聡教授らの研究グループは、同大学が主催する第二次東北慢性心不全登録研究に登録された冠動脈疾患患者のデータを解析し、がんの既往や心房細動合併と、冠動脈疾患の予後との関連を評価した。

がんと心臓病を同時にもつ患者の予後は良くないことが推測されていましたが、その実態に関する研究は十分ではない。そのため研究グループは、統計調査を実施した。

冠動脈疾患の患者3233人のデータを解析し、がんの既往、心房細動と、予後の関係を調査。冠動脈疾患患者の 10.7%にがんの既往、11.2%に心房細動合併を認めた。がんの種類とは、大腸がん、胃がん、前立腺がん、肺がん、乳がんの順に多いことが明らかになっている。

がん既往がある心房細動患者は抗凝固薬が使用されますが、抗凝固薬の使用率は約5割(ワーファリン)から約8割(ワーファリン+DOAC)と経年的に上昇し、適切な治療が行われていることが示唆された。

一方、がんと心房細動を合併した患者はその予後が不良であり、脳卒中や塞栓症、出血などが多く発生した。さらに、「あらゆる原因による死亡」「がん関連の死亡」及び「心不全での入院リスク」が高いことと強く関連していることが示されている。

研究グループは「がんの既往と心房細動を合併する冠動脈疾患患者の治療においては、特に注意深い観察が必要と考えられ、適切な抗凝固薬の投与など、新たな治療戦略に繋がるとよい」と説明している。