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「マスク着用率」と「着ける理由」の双方向影響 阪大研究Gが調査

大阪大学の村上道夫特任教授は、新型コロナウイルス感染症の5類移行前後におけるマスク着用とその理由を調査して、その関連の方向性を解析した。「着用とその理由への考えに双方向の関係があること」などが分かっている。

マスク着用には感染症リスクを低減できる一方で、不快感などをもたらすデメリットがあることが知られる。これまで日本では新型コロナ流行下で、規範観が高い人ほどマスクを着用する傾向があることを知られている。だが、「規範観が高い人とマスクを着けるようになるのか」「マスクを着けると規範観が高くなるのか」、その理由の関連の方向性は明らかになっていない。

研究では、今年4月と6月にオンラインアンケート調査を実施。2回のアンケート両方に回答した人数は291人であった。過去1週間におけるマスク着用(花粉症対策目的を除く)について、「1:まったく着用しなかった、2:少しは着用した、3:頻繁に着用した」から1つを選択することを求めた。

その結果、新型コロナの5類移行前後におけるマスク着用とその理由の変化と、その関連の方向性を明らかにできた。マスク着用率はわずかに低下しており、「着用とその理由への考えに双方向の関係があること」、「感染リスク回避とそれ以外の社会心理的要因の間で、マスク着用との関連の方向性が異なること」を示すことができたとしている。

研究グループは「マスク着用率が低下する状況においても、規範観や安心感などの感染リスク回避以外の社会心理的要因を踏まえた情報や社会像を発信したり、共有したりすることが重要である」と説明している。