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高速に変調できる偏光熱光源の 慶應大の研究Gが開発成功

慶應義塾大学の牧英之教授らの研究グループは、一次元ナノ材料であるカーボンナノチューブが高密度・高配向に積層した「カーボンナノチューブ配向膜」を用いて、高速に変調(オン/オフ)できる偏光熱光源の開発に成功した。

偏光した光は、物質分析やバイオ分析、創薬などの分野で重要であり、基礎研究から産業界まで広く活用されている。だが、これらを応用した時間依存測定などには、マクロサイズの偏光板や光チョッパーを用いる。そのため小型、集積化が困難。高速な変調速度が必要にもかかわらず、低速であることが問題となっていた。

研究では、カーボンナノチューブ膜を用いて、1マイクロメートル 四方の発光面を持つ電気駆動の熱発光デバイスを開発した。この高速変調特性を調べるため、作成したデバイスに対して、高速の矩形電圧印加下での時間分解発光測定を行った。

測定の結果、カーボンナノチューブ配向膜の偏光熱光源は、高速変調性能を持つことが判明。さらに解析を行うことで、高速変調性のメカニズムを解明したところ、カーボンナノチューブ配向膜の配向方向における高い熱伝導特性がその理由であることを突き止めた。

研究グループは「新たな偏光赤外技術を開拓する新技術となり、分析やセンシング技術への応用が可能なことから、材料開発、バイオ分析、創薬等への幅広い分野での応用展開が期待される」とコメントしている。