広島大学の折山早苗教授は、これまでに看護師の労働環境、特に夜勤時の仮眠について研究して効果を検証してきた。睡眠時間が長いと疲労感が増え、短いと眠気が増加することが明らかになっている。
分析対象者は大学4年の女子学生としてデータを収集した。「単相性仮眠条件(仮眠時刻:22:00-00:00)」を14人、「分割仮眠条件(仮眠時刻:22:30-00:00、02:30-03:00)」12人、「仮眠なし条件」を15人の計41人の仮眠効果を検証した。
その結果、平均の睡眠時間は、120分間仮眠が93.1分間、90分間仮眠が68.4分間、30分間仮眠が20.1分間。睡眠効率の平均はいずれも90%以上で、入眠までの平均は10分以下であった。仮眠間で統計的な違いを認めませんでした。
仮眠時の睡眠状態と仮眠直後の体温、眠気、疲労感、計算数の相関関係から、睡眠時間が長いと120分仮眠は疲労感が増え、30分仮眠は眠気が増加することが分かった。また、90分仮眠は入眠までが短いと、体温が上昇して眠気や疲労感も増加することが示されている。
仮眠をとらない条件は早朝に眠気や疲労感が増加した。分割仮眠条件では、仮眠を1回にまとめてとった単相性仮眠条件よりも早朝の眠気を抑え、疲労感の低減効果に優れていることを確認した。
この研究成果は、夜間睡眠が限られる長時間の夜勤状況下においては、1回の仮眠をとるよりも2回に分けて仮眠をとる方が、眠気や疲労感の低減につながることが示している。また、仮眠をとる時間で、覚醒時の体温や眠気、疲労感に影響することが見出された。
折山教授は「120分間仮眠を90分間と30分間に分割しその効果を確認したが、今後は仮眠直後の一時的な眠気や疲労感の増加を防ぐ方法を組み合わせたり、仮眠環境の整備をしたりすることで夜勤時の疲労や眠気を理由に離職する看護師の離職防止にもつながる」としている。