文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
PCR2~4時間→から「10分」に大幅短縮 AIナノポアで変異ウイルスを識別 阪大などの研究Gが成功

大阪大学の谷口正輝教授らの研究グループは26日、ウイルス識別システム「AIナノポア」を用いて、変異型の新型コロナウイルスを1個単位で、高精度に識別することに成功したと発表した。この技術により、検査時間の短縮やパンデミック時の混乱を抑制できる可能性があるという。AIナノポアとは、シリコン基板上に直径300nmの貫通孔を持つナノポアから得られる電流-時間波形を、AIで学習することで、1個のウイルスや細菌を高精度に識別するシステム。PCR検査法では2~4時間かかっていたものが、新検査法では10分程度で結果が判明するという。

2000年以降、数年に一度の頻度で新興感染症が発生している。今後、健康を守っていくためには、新たなウイルス種や変異株に対応できる検査プラットフォームが必要だ。だが、これまで新型コロナの変異を確認できても、迅速に高感度で行う検査は困難であった。

研究グループはナノポアを用いたオミクロン株の唾液検査を行ったところ、10分で感度100%、特異度96%を達成した。また、ナノポアを使った計測で武漢株などの種類を高精度に識別することができた。これはAIがスパイクタンパク質を区別していることを示している。

研究グループは「AIナノポアはターゲットとなるウイルスの計測データを学習するだけで、新たな検査法を生み出す能力がある。新たなウイルスによる感染症が発生した場合、この技術により即時に高精度な検査法を開発することで、検査時間の短縮や混乱を軽減させられる」とコメントしている。