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血圧コントロール不良の割合は約4割 東北医薬大研究Gが「臨床イナーシャ」の実態解明

東北医科薬科大学の佐藤倫広講師らの研究グループは25日、DeSCヘルスケア㈱が保有する健康保険組合及び国民健康保険の加入者から得られた健診情報のうち許諾されたデータを解析し、不十分な高血圧治療と血圧コントロール状況の関係を明らかにしたと発表している。

診療での高血圧コントロール率は低いことが知られており、高血圧パラドックスと呼ばれる。その要因として、臨床イナーシャと呼ばれる血圧が目標まで下がらないのに治療変更が開始されない状態が問題視されてきた。

研究では高血圧が確認された健診の翌年に高血圧治療と健診時血圧を測定していた 2万7652人のデータを解析した。その結果、治療前の血圧レベル高値および高血圧治療薬処方が1種類であったことが治療後の血圧コントロール不良の強い要因であることが明らかになった。

研究チームは高血圧治療薬の処方数と用量で対象者を群分けした。各群の血圧コントロール不良者の割合を考慮して推計すると、高血圧治療薬を3剤未満で血圧コントロール不良となっている割合は約4割と分かった。

だが、治療前血圧がIII度高血圧という非常に高いレベルであっても、その約1年後に高血圧治療薬を3剤以上処方されていた患者の割合はわずか9.9%であった。

研究グループは「研究の試算に基づき普及活動を行うことで、高血圧治療中患者における脳心血管疾患の多くを防げる可能性がある」としている。