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骨格筋研究の進歩に期待 早稲田大などの研究Gが筋線維伸長の抑制機構を解明 

早稲田大学の川上泰雄教授らの研究グループは24日、人間の骨格筋が伸ばされるときに、筋線維が3次元的にその方向を変化させることで筋線維の伸長の程度が少なくなることを明らかにしたと発表している。人間の骨格筋研究を進歩させる契機となることが期待される。

研究グループはこれまでに、羽状筋の筋束は実際には3次元的な広がりをもって分布していることを発見していたが、筋束の3次元形状の伸長時の変化や、長さ変化を小さくする「ギアリング効果」に及ぼす影響は不明であった。

研究では、典型的な羽状筋である腓腹筋内側頭を対象として、3つの異なる足関節角度における筋全体と個々の筋束の形状を測定。安静状態のもとで短縮位から伸長位に移り代わる際の3次元的な動態を詳細に検討した。その結果、受動的な足関節背屈による筋全体の伸長に比べて、筋束の伸長が格段に少なくなることが分かった。

個々の筋束の動態に関しては、伸長時に長軸方向だけでなく短軸方向においても走行角度を減少させるように回転していることが明らかとなった。これらの結果から、羽状筋の受動的伸長時において、筋束は伸長しつつ3次元的に回転することで、結果的にその長さ変化を抑えるギアリング効果が存在することが判明した。

川上教授は「研究では、筋束の配置や関節角度が変化したときの動態を生体計測で明らかにした。今後の人間の骨格筋研究を格段に進歩させる契機となることを期待したい」と述べた。