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「心臓極限性が悪くなるとは言い切れない」順天堂大研究Gがサルコイドーシスの予後を比較 

順天堂大学の前田大智非常勤助教らの研究グループは、心臓限局性サルコイドーシス患者における臨床背景および予後を明らかにした。心臓局限性とそうでない場合を比較した際に、必ずしもそうであるパターンの予後が悪くなると言い切れないとしている。

サルコイドーシスとは、指定難病であり、まだ未解明な点が多い疾患ですが、体内に原因不明の炎症が起こり、その炎症を起こした細胞が肉芽腫と呼ばれる塊を作る病気とされている。この肉芽腫が心臓にできると心臓サルコイドーシスと呼ばれ、そこのみだと心臓限局性サルコイドーシスとなる。

研究は心臓限局性サルコイドーシスの頻度や患者背景、予後などを検討することを目的とした。

研究では、2001~17年の間に国内33病院において、16年の日本循環器学会のガイドラインに基づき心臓サルコイドーシスと診断された475人のデータを統計的に解析した。

それによると、119人が心臓限局性サルコイドーシスと診断。限局性はそうでない場合と比べて、心房細動や心不全を既往にもつ割合が高かった。平均して42カ月の追跡の間に死亡、心不全による入院、致死性不整脈は141人で発生。そのうち心臓局限性サルコイドーシス41人。非心臓局限性が100人であった。

結果に対する要因を分析すると、心臓局限性はそうでない場合と比べて心不全などによる入院などが起きる可能性が大きかった。だが、そのほかのリスク因子で調節したところ、心臓局限性と非心臓局限性では統計学的な差はないことが明らかになっている。

心臓局限性の予後が悪く見えがちであるが、全身の状態が悪いことが関係している可能性が大いにあると推測された。

研究グループは今後について「心臓限局性サルコイドーシスであるか非心臓限局性サルコイドーシスであるかよりも、診断時の心機能や併存疾患の有無が予後を左右する可能性が示唆された。したがって、いかにして心臓サルコイドーシスを早期に発見し、早期に治療介入を行えるかが今後の重要な課題となると考える」としている。