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冬型の気圧配置の日は急速に温暖化 北大研究員らがオホーツク海の海氷減少が西高東低の気圧配置での北海道の温暖化を強めていることを解明

□研究のポイント■

〇冬型の気圧配置の日に限定すると、北海道は冬季平均の3倍以上の速さで昇温していることを発見

〇オホーツク海の海氷減少が冬型の気圧配置の日に北海道へ流入する寒気を加熱していたことを解明

〇地球温暖化による大雨や大雪の変化を評価する、新たな手法の開発に繋がることへ期待

北海道大学大学院地球環境科学研究院の田村健太博士研究員、佐藤友徳准教授の研究グループは、機械学習を用いて過去44年分の日々の気象データを解析し、気温や大気中に含まれる水蒸気量の長期的な変化の傾向を気圧配置毎に分けて評価することに成功した。北海道周辺での長期的な気温の上昇は、いわゆる西高東低の冬型の気圧配置の場合には、冬季平均の3倍以上のペースで進行していることが分かった。

従来から知られているように、冬型の気圧配置では、ユーラシア大陸やオホーツク海からの寒気の流入により、日本海側の地域を中心に厳しい寒さや大雪となることがある。田中博士研究員らの研究では、日本に流入する寒気の起源が気圧配置毎に異なることに着目し、日本周辺における気温や水蒸気量の経年変化を気圧配置毎に解析した。

オホーツク海を起源とする寒気が日本に流入するような気圧配置の日に着目して調べたところ、北海道周辺の気温の上昇率は、冬季平均の上昇率に比べて3倍以上大きく、同時に大気中の水蒸気量も増加していることが分かった。

水蒸気量の増加は降水量の増加に繋がりうることから、この研究成果は、大雪などの顕著現象に対する地球温暖化の影響を正確に見積もる、新たな手法の開発に繋がることが期待される。

この研究成果は、6月6日公開のGeophysical Research Letters誌に掲載された。