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約1割が「2つ以上の慢性疾患」 慶應大などの研究Gが協会けんぽデータから明らかに 

慶應義塾大学の勝川史憲教授らの研究グループは、高額医療費集団169万人のデータに基づいて2つ以上の慢性疾患が併存する「マルチモビディティ」のパターンを明らかにした。協会けんぽ加入者の約1割が複数の病を患っていると判明している。

研究では、2015年度に協会けんぽに加入していた18~64歳の被保険者のうち医療費上位10%にあたる169万8902人を解析対象とした。高額医療費集団に特徴的なマルチモビディティ・パターンの検討を行い、出現頻度の高い疾病68病名に基づき30パターンに分類した。

医療費上位1割の集団では、95.6%の人がマルチモビディティに該当。マルチモビディティ・パターン別の年間総医療費(円)と1人当たりの年間医療費(円)を確認したところ、糖尿病、高血圧症、脂質異常症を合併した広義のメタボリックシンドローム※を含むパターンは7種類に分類され、それらの合計医療費は全体の約3割を占めた。

性別・年代別に30パターンの内訳を確認すると、男性では30代でメタボリックシンドロームのパターンに分類される人の割合が全体の2割強。その割合は50代以降では半数以上になった。

女性では40代までは、周産期の病名や月経前症候群のような疾病を中心とする女性特有のパターンに分類される者が半数近くを占めたが、50代以降ではメタボリックシンドロームや運動器疾患のパターンに分類される人が増えていた。

※広義のメタボリックシンドローム

日本では、ウエスト周囲長(へその高さの腹囲)が男性85センチ・女性90センチ以上で、かつ血圧・血糖・脂質(中性脂肪またはHDLコレステロール)の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、メタボリックシンドロームと診断される。この研究では腹囲や肥満などは含めず、高血圧症、糖尿病、脂質異常症(LDLコレステロールなども含む)の3つの病名が特徴的であったパターンを、便宜上、広義のメタボリックシンドロームのパターンと呼んでいる。