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瞬間的でなく長期的な温度感覚を実現 VR世界での応用に期待(筑波大)

筑波大学の黒田嘉宏教授らは18日、実質的に皮膚温度を変化させることなく非接触で仮想的冷感を与える技術を開発したと発表した。仮想現実(VR)世界において瞬間的な温度感覚だけでなく、長期的な体験を可能とすることへの応用が期待されている。

気温の変化など皮膚で感じる温度感覚は、次第に慣れて刺激を感じにくくなる。このような、慣れによって仮想空間において場面が切り替わった際に、適切な温度感覚が得られないことがある。

研究では、冷たい気流と温かい光源を使用して素早い冷刺激と緩やかな温刺激の切り替えを繰り返すことで、皮膚の温度変化をさせずに冷たい感覚を引き起こす技術を開発した。

20~30代の男性14人と女性1人を対象とした実験では、異なる強度の冷、温刺激の組み合わせを提示して参加者が感じた温度感覚を記録した。その結果、実質的な皮膚の温度変化を伴わずに、非接触で連続的に冷感を生み出すことに成功している。

また、生じる感覚の強さは冷刺激の素早さを1.5倍にすることで、実質的に皮膚温度を変化させていないにも関わらず、皮膚温度を継続的に低下させる従来技術と同程度の冷感の強さを実現可能であることが示された。

黒田教授は「この技術は、身体の状態を変化させずに皮膚感覚を人工的に作り出す新たな考え方を提供するもの。メタバースをはじめとするVR世界において、突然の冷風などの瞬間的な温度感覚だけでなく、海外旅行などの長時間にわたる連続的な温度感覚を伴う体験が可能になる」と評価している。