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がん種への応用に期待 医歯大がバイオ機能性ハイドロゲルの開発に成功 

東京医科歯科大学の室田吉貴助教らの研究グループは、英国エジンバラ大学との共同研究で、人の膵がん幹細胞の微小環境(ニッチ)を高活性に擬態する高機能性ハイドロゲルの開発した。さらに、それを用いた解析から患者予後と高い相関を示す新規のニッチ因子を複数認定することに成功している。

研究グループは、膵がん細胞株に存在しているがん幹細胞と非がん幹細胞を用いた「ポリマーmicroarrayスクリーニング」を実施。その結果、がん幹細胞特異的に増殖を支持するアクリル系のポリマーPA531を発見した。

さらにPA531を構成するモノマーの濃度や水の有無など各種反応条件を変化させることで、PA531を原料とするさまざまな性質のハイドロゲルを合成し、ニッチ機能の最適化を行った。

最終的に膵がん幹細胞の生存を維持する(ニッチを擬態する)ハイドロゲルPA531-HG4を開発した。このPA531-HG4の作用を明らかにするため、ゲル結合タンパク質の解析を行ったところ、甲状腺ホルモン輸送タンパク質SERPINA7のような既知のがん関連分子に加えて、cystatinファミリー分子Fetuin-Bや血圧調整酵素AGTなどこれまでに報告のなかった新規の液性因子が複数確認された。

特に腫瘍組織検体におけるFetuin-BとAGTの発現レベルは膵がん患者の予後と有意に相関しており、臨床的意義の高い標的候補分子と考えられた。

研究チームは「この異分野融合による学際的な標的探索手法は、膵がんのみならず他の様々ながん種へと応用可能であり、細胞外の微小環境を標的とする創薬研究開発に飛躍的な加速をもたらすことが期待できる」とコメントしている。