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東京医歯大などの研究Gが「リン酸カルシウム系材料」開発 新たな人工骨の開発に期待

東京医科歯科大学の横井太史准教授らの研究グループは16日、他大学との共同研究でセラミックス人工骨の弱点である損傷に対する耐性(損傷許容性)を改善したリン酸カルシウム系材料の開発に成功したと発表した。新たな人工骨の開発につながる可能性がある。

割れないセラミックス人工骨をつくって患者の精神的負担を軽減することを目的として、研究チームは損傷に対する許容性を高めたセラミックス人工骨の作製に挑戦した。

損傷に対する許容性を高めたセラミックス人工骨開発のヒントにしたのは貝殻の真珠層の構造だ。真珠層はレンガ/モルタル構造と呼ばれるき裂の直進を防ぐ特徴を持つ。レンガ/モルタル構造を人工骨として利用可能なリン酸カルシウム化合物を用いて構築できれば、損傷許容性に優れるセラミックス人工骨を得られるとの仮説を立てた。

真珠層を形成できると推測できたカルボン酸含有リン酸八カルシウムを材料とすることとした。そして、その素材を使って板状にしたものに、釘を打つことによって強度を調査。その結果、優れた損傷許容性を有していることが分かった。

さらに、議事体液を使って骨結合性の有無を確認したところ、開発した材料は骨も結合する性質があると発見できた。人工骨として機能することが強く期待されている。

研究チームは「セラミックスの損傷許容性の向上は容易ではありませんが、真珠層の組織に学びながら材料の微細構造を精緻に設計・構築することにより、これを達成することができた。本研究で開発した材料は、割れないセラミックス人工骨の開発に繋がるだろう」と評価している。