神戸大学の末次健司教授の研究チームは12日、マルハナバチが主な送粉者であるはずの植物「アケボノシュスラン」がなぜ神津島で分布しているのかを調査。その結果、神津島のアケボノシュスランは本土のものより花筒が短く、密を吸う器官である口先が短いツチバチが送粉者であると確認された。
研究チームがDNA分析を行ったところ、神津島のアケボノシュスランは似た植物「シュスラン」との雑種であったと判明。島のアケボノシュスランは絶滅してシュスランとの雑種に置き換わったと分かった。
「そもそもマルハナバチがいないため、複数種の植物の間で別の総噴射の共有が起こり異種間で花粉のやり取りが増える」「長い口先をもつマルハナバチがいないことで花筒が長いアケボノシュスランの形質が不利になる」という2つの要因から起きたと分析されている。
研究チームは「雑種形成にはそれぞれの種が長い時間をかけて獲得してきた形質を良いとこ取りし迅速に進化できるというメリットがある。両親の有利な特徴を持ち合わせた新種を生み出す可能性のある交雑は、ほかの植物においても海洋島などの新たな環境に進出する際、重要な役割を果たしているのかもしれない」とコメントしている。