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新型レンズレスカメラを開発 医療や工業検査用カメラへの応用に期待(阪大)

大阪大学の八木康史教授らの研究グループは11日、異なる距離にある被写体を1度の処理で鮮明に映し出すことができる新型レンズレスカメラを開発したと発表した。医療や工業検査用カメラなどへの応用が期待される。

研究グループは、新型のレンズレスカメラの開発を進め、光学系に放射状符号化マスクを導入することで、異なる距離にある被写体を一度の処理で鮮明に映し出すことに成功した。これまでのレンズレスカメラは、一定の距離範囲にしかピントを合わせられないという課題があったが、その課題を解決している。

このカメラは、多様な距離に存在する被写体を1度の処理ではっきりと撮影することができる。さらに、放射状符号化マスクの構造の最適化により、画質も向上させることに成功した。実機を用いた撮影実験からも、深い距離範囲で被写体を明瞭に捉えられることが確認されている。

研究グループは「研究の成果によって、被写界深度が深い薄型カメラの開発が可能となる。これにより、被写体が深い奥行き分布を持つ場合や、カメラに対し近距離に物体が存在するような撮影状況においても、薄型デバイスでの明瞭な画像化が期待できる。医療用や工業検査用カメラなど、さまざまな分野での応用が可能」と説明している。