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転写因子が結合する新DB 筑波大「MOCCSプロファイル」を構築

筑波大学の尾崎遼准教授は12日、人の遺伝子発現を制御する転写因子が結合する塩基配列の基盤データ「MOCCSプロファイル」を新たに構築し、転写因子が細胞の種類ごとに特異的な結合配列を持つことを明らかにしたと発表している。

人の転写因子の結合する部位を特定できる「ChlP-seq」のデータベース「ChlP-Atlas」に収載されている情報を用いて、転写因子結合配列の新たな基盤データを構築した。

具体的には、大規模な人の転写因子ChlP-seqデータセットに対して、転写因子結合配列を特定する手法「MOCCS法」を適用し、塩基の部分配列k-merごとの結合特異性スコアをまとめた「MOCCSプロファイル」を473種類の転写因子と398種類の細胞型(20種類の組織型)について求めた。

ここでの組織型は血液系、循環器系、臓器などの臓器レベルの分類を指し、細胞型には組織型の亜分類で実験に用いられる細胞株などが含まれる。これを使って、転写因子、細胞の種類横断的に解析したところ、転写因子のうち約半数は細胞の種類ごとに異なる組織配列を持つことが明らかとなった。

また、MOCCSプロファイルから転写因子結合に与える影響を予測する「△MOCCS2Score」という指標を開発した。

尾崎准教授は「MOCCSプロファイルおよび△MOCCS2Scoreは、多方面における応用の可能性を秘めている。遺伝子発現制御機構の理解につながったり、がんなどの体細胞変異が転写因子結合に与える影響度を評価するなどの用途が考えられる」とコメントしている。