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ARNIとARB治療による心腎臓機メカニズムの違い 横市大研究Gが解明

横浜市立大学の田村功一主任教授らの研究グループは10日、心腎連関病態において降圧薬「アンジオテンシン受容体/ネプリライシン阻害薬(ARNI)」であるサクビトリル/バルサルタンと降圧薬「アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)」のバルサルタン治療による臓器保護メカニズムの違いについて明らかにしたと発表した。患者に対するより良い治療選択肢の提供につながると期待される。

研究では、腎臓のSOSの役割を果たす「アルブミン尿」を伴う心腎連関症候群の病態を模倣したANSマウスを用いることで、ARNIの心臓と腎臓への保護効果を検証した。

マウスからは、高血圧、心不全および多量のアルブミン尿が検出。その後、心臓と腎臓の線維化や腎糸球体の肥大を認めた。このマウスにARNIとARB(バルサルタン)による治療を行ったところ、ARNIとARBはどちらもマウスの血圧上昇を有意に抑制した。ARNIはさらにマウスの心不全(左室収縮力の低下)や心線維化をARBよりも改善した。

一方、腎臓については、ARNIよりもARBの方が、マウスのアルブミン尿抑制や腎線維化・糸球体肥大の抑制効果において優れていた。そこで、さらに腎臓を詳細に解析したところ、ARNIによる治療ではマウスで亢進していたホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)-Aktシグナリングパスウェイという分子伝達経路の抑制が、ARBと比べて不十分であることが判明。

また、このPI3K-Aktパスウェイを阻害する薬剤をARNI治療に併用することで、ARBと同程度までARNIの腎保護効果が発揮されることが分かっている。

研究グループは「どのような病態や患者さんにおいてARNIがより効果的に使用できるかなど、より良い治療選択肢の提供につながることが期待される」と説明した。