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神戸大などの研究Gがナナフシの長距離分散の痕跡を発見 最大683キロ先で同じミトコンドリア配列

神戸大学の末次健司教授らの研究グループは4日、ナナフシの全国的な遺伝構造を調査して、その分布パターンから鳥による長距離分散の痕跡が残っていることを示した研究成果を発表した。これは生物の移動分散に関する理解を深める上で重要な知見となりそうだ。

羽のはえていないナナフシの場合、高山や川、海などの障害を越えて移動することは困難。だが研究では、東北、関東、中部、近畿、中国、四国から採集を行ったところ、ミトコンドリアの配列、核のマイクロサテライト領域などに明瞭な関係は認められなかった。特にミトコンドリアの配列は最大で683キロメートル離れた地点でも同じ配列が確認された。

例えばカラスがねぐらと採餌場所を定期的に移動することを考えると、ナナフシがこうした動物に食べられて長距離移動している可能性が高いと研究チームは考察。ナナフシが分散能力が低いにもかかわらず、遺伝的に近縁の個体がとても離れた地点で確認されている理由だと説明している。

研究チームは「これらの結果は能動的な移動能力に乏しい生物の移動分散に関する理解を深める上で非常に重要な知見だ」とコメントしている。