東京大学の大澤毅准教授らの研究グループは先月２９日、他大学などと共同で低酸素が誘導する細胞内小器官の１つである「ゴルジ体」と小胞体の融合がコレステロール合成経路を活性化することを見出した。また小胞体などの細胞内小器官「オルガネラ」を介したがん促進性の免疫制御機構が、がんの進展に関与することを発見した。新たながん治療法開発が期待される。

研究グループは骨髄由来の免疫細胞におけるトランスクリプトーム、エピゲノムおよびメタボロームの網羅的オミクス統合解析を実施。骨髄由来の免疫細胞のゴルジ体が崩壊し、さらに壊れたゴルジ体と小胞体が融合することでコレステロール合成経路を活性化させることをみつけた。

研究グループは「得られた知見から、コレステロール合成系を標的とした免疫系の阻害や、オルガネラをターゲットとした新たながん治療法の確立が期待される」とコメントしている。