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柔らかなシートに光・電磁波撮像センサを〝印刷〟 中央大教授らが光・電磁波撮像センサの効率的製造工程の創出成功

中央大学理工学部の河野行雄教授らを中心とする研究グループは25日、独自に開発した多機能な「光・電磁波撮像センサシート」の生産に印刷技術を活用して高効率な製造工程の創出に成功したと発表した。美術・衣服分野の古典的な加工手法である〝版画〟から着想を得て、光・電磁波センサを印刷製造。柔らかなセンサシートへの大面積印刷に特化した製造手法と材料インクで、耐久性向上を実現した。多様な液体材料の印刷を組み合わせることができ、多機能素子の極めて簡便な集積実装への期待が高まっている。この成果はセンサの大規模集積や用途に応じた生産を可能にするという。

研究グループが開発を進めるセンサは、元来、多様な素材・構造から成る物を壊すことなく、内部の素材の組み合わせや形状を可視化する「材質同定」という非破壊検査技術に特化したもの。

従来の工程では、センサやドーピング液、電極配線などの各原材料を、シートの必要な部分にだけ移し取ってつなぎ合わせる「剥離転写法」を用いていたが、材料間での断線が頻発して動作不良を起こす材料の機械的な強度不足が課題となっていた。

研究では、液体インク状態の各材料を印刷技術により、高い密着度で刷り込ませる作製工程を考案。素子の断線を抑制し、作製効率と耐久性の飛躍的な改善を達成した。

研究グループは「この成果は、光・電磁波撮像センサシートの社会実装に求められる大規模集積や用途に応じた生産などを可能にするもので、今後の幅広い応用展開が期待できる」としている。