慶應義塾大学は22日、大久保敏弘教授とジュネーブ高等国際問題・開発研究所のRichard Baldwin教授との共同研究により、人工知能(AI)とリモートインテリジェンス(RI)が、サービス産業において代替関係か補完関係にあるのかを、日本のデータを用いて実証分析したと発表。その結果、補完の関係であると示唆するデータが得られたという。
大久保敏弘研究室(慶應義塾大学)とNIRA総合研究開発機構が継続的に実施してきた、約1万人の就業者から収集した調査では、労働者にAIやRIの利用状況、将来のそれらの利用についての期待、また、自分の仕事と代替的か補完的かを尋ねた。
その結果、職業レベルでみると、AIとRIを促進するソフトウェアの利用状況は正の相関が確認された。特に、オフィスワーカー、専門職はAIとRIを促進するソフトウェアの利用率が高いことが分かった。
また、新型コロナパンデミックを外生的ショックとし、2020年3月~22年6月にかけて、AIやRIを促進するソフトウェアの使用がどのように変化したかを見ると、RIの利用が高まるにつれて、AIの利用が高まっていることを発見。これらの結果は、AIとRI は代替的ではなく、補完的であることを示唆する。
将来のRIの利用について肯定的回答が多かった職業は、将来のAIの利用についても肯定的な回答が多く、職業間で高い相関が確認されました。これらが代替関係にあるという考えに反し、補完関係であることを示唆するといえる。