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放射線エックス線が地球核の化学組成を変える 理研などの研究Gが新しい絶対圧力スケール決定 地球内部構造の議論に大きな影響

放射光エックス線が地球核の化学組成を変える―。理化学研究所(理研)のアルフレッド・バロングループディレクターや東北大学の大谷栄治 名誉教授らの研究チームは22日、カールスルーエ工科大学との国際共同研究で、新たな絶対圧力スケール(状態方程式)を決定し、それに基づいて地球の核の化学組成に変更を迫る成果を発表した。これは地球内部構造の議論に大きな影響を与えるものだ。

高圧実験における圧力は、標準物質の密度と圧力の関係を示す状態方程式(圧力スケール)により計算される。信頼できる圧力スケールの開発は、長い間、高圧科学の分野での重要な課題となってきた。

研究グループは、世界最高性能の放射光を生み出す理化学研究所の施設「SPring―8」の世界最高輝度の放射光X線と金属レニウムを用いて、超高圧化での圧力と物質の密度の関係を表す新しい絶対スケールを決定した。

この絶対圧力スケールは従来の2倍となる世界最高の圧力範囲で、地球の核内部の圧力まで、基地の測定値から未知の値を測定することなく適用できる。従来のスケールは地球の核内部の圧力領域で20%以上も圧力を課題評価していたことが分かった。

今回の絶対圧力スケールを用いると、地球の内核の条件では、固体鉄の密度が地震学的に観測された密度より8%大きく、従来の圧力スケールで見積もられていた密度との差の約2倍となる。

研究グループは「核に含まれる軽い物質は、地球の表層部(地殻)の質量の5倍以上に相当する量に見積もられることが分かった。これは、地球内部構造の議論において非常に重要な成果だ」としている。