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山火事により発生するガス状有害物質の放出量は「燃焼温度」の影響が大きい 横市大とNASAの共同研究Gが発見

横浜市立大学の関本奏子准教授、米航空宇宙局(NASA)の共同研究グループは、北米西部の山火事から発生する揮発性有機化合物(VOC)の種類と量は、燃える植物の種類よりも燃焼温度による影響が大きいことを発見した。

今回、関本准教授らが研究を行った背景には山火事の多発がある。発生するVOCは気候変動などに影響を与えるとされ、2次有機エアロゾルの生成メカニズムの解明や発生量の予測モデルの構築は、大気化学における重要な課題となっている。

19年の夏に航空機観測が北米西部で行われた。八つの山火事のVOCを同様に測定、解析した。その結果、高温・低温熱分解プロファイルの組み合わせによって、山火事から直接発生するVOCの種類と量を70%以上の精度で表現できることが分かった。

さらに、高温・低温熱分解プロファイルの相対的寄与率は、衛星によって観測される「fire radiative power(FRP)」に相関することが明らかになった。FRPは燃焼温度に相関することが知られる。したがって、山火事に由来するVOCの発生量は、燃える植物の種類よりも燃焼温度による影響が大きいと結論付けられた。

研究グループは「山火事に由来するVOCの発生量は、衛星観測で得られるFRPと二つのVOCプロファイルから正確に予測することが可能となった。この成果は山火事に由来する大気汚染物質の発生メカニズムの解明などに貢献できる」とした。