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東北大研究Gが「イオンが分子内を高効率で動く仕組み」発見

東北大学の美齊津文典教授らの研究グループは12日、イオンが分子内を高効率で動く仕組みを発見したと公表した。溶媒分子がプロトンを運んで標的分子の別の場所で放出する機構「ビークル機構」が効率よく起こることを世界で初めて発見したという。

長距離プロトン移動の仕組みには、グロータス機構とビーグル機構の二つが発表されている。グロータス機構では水素結合した水分子がプロトンをリレー輸送し、ビークル機構では単一分子の移動によってプロトンが動く。

研究グループは、分子同士を真空中で衝突させ、生成物を自作のイオンモビリティー質量分析装置で観測。この実験とabinitio分子動力学計算から、アンモニウムイオン(NH4+)がビークル機構によって、プロトンが0.6nmの距離をおよそ100%の効率で移動することを発見した。イオンモビリティー質量分析は、真空中でのイオンとヘリウムガスとの衝突を利用してイオンの構造を決定する分析手法。

研究グループは「電解質中でしか見つかっていないビークル機構によるプロトン移動が、真空中の1個の分子内で起きることを示した世界初の研究成果であり、200年以上のプロトン移動研究の歴史の新たな第一歩を示すものだ」としている。

※ Abinitio分子動力学計算:分子内の原子に働く力を計算し、その力をもとにニュートンの運動方程式を解き、分子の運動をシミュレートする方法