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コロナ関連の小児突然死の背景にある希少疾患の診断に成功【東京医歯大】

東京医科歯科大学の研究グループは、昭和大学、東京大学、東京薬科大学、浜松医科大学、大阪母子医療センターとの共同研究で、分子剖検により新型コロナウイルス感染症に関連した小児突然死の背景に、稀な遺伝子変異を有するNoonan症候群があることをつきとめた。この研究成果は、国際科学誌Frontiers in Immunologyに、4月18日にオンライン版で発表された。

Noonan症候群は、遺伝子の先天的な変異により、特徴的な顔貌、翼状頸、先天性心疾患、血液増殖性疾患、固形腫瘍などを示す先天症候群。出生頻度は1000~2500人に一人程度と比較的高い頻度と推定されているが、臨床症状が多彩であり、診断されていない患者も存在すると考えられ、実態は不明なところが多いことが指摘されている。

2019年に始まった新型コロナ感染症は瞬く間に全世界に拡大し、未成年も含め多くの感染者が発生した。今回、これまで基礎疾患が指摘されていなかったコロナ陽性の未成年患者を剖検したところ、稀な冠動脈起始異常、小児B前駆細胞性急性リンパ性白血病を呈していた。WESによりユビキチン修飾関連分子であるLZTR1(がん抑制遺伝子)の変異が認められ、さらに専門医により、指定難病であるNoonan症候群の特徴的な外観が指摘されました。本研究では、LZTR1遺伝子変異を伴うNoonan症候群患者において、COVID-19感染、稀な冠動脈の起始異常、白血病という病態が複雑に絡み合っていることが明らかになった。

この研究に東京医科歯科大学で参画したのは大学院医歯学総合研究科 法医学分野の鵜沼香奈准教授ら、小児地域成育医療学講座の金兼弘和教授ら、人体病理学分野の山本浩平講師ら、広島大学 大学院医系科学研究科 小児科学の岡田賢教授ら。

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ユネスコ創造都市ネット新規加盟へ公募開始

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が実施するユネスコ創造都市ネットワーク(UNESCO Creative Cities Network)への新規加盟申請のための2023年公募の開始を受けて、日本ユネスコ国内委員会は、わが国からユネスコへ推薦する申請案件を公募する。2023年公募では、1ヵ国からユネスコへ申請できる案件数の上限が2件(異なる分野)に設定されたことを受けて、わが国からユネスコへ推薦する案件を選定する。

ユネスコ創造都市ネットワークは、ユネスコの事業として2004年に創設。創造性(creativity)を核とした都市間の国際的な連携によって、地域の創造産業の発展を図り、都市の持続可能な開発を目指すもの。各都市は同ネットワークを活用し、知識・経験の交流、人材育成、プログラム協力などを行う。

世界の加盟都市は約300都市で、7分野(文学、映画、音楽、クラフト&フォークアート、デザイン、メディアアート、食文化)のいずれかに分類されている。

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デジタル世界での幼児教育・保育 OECDがプロジェクト報告書(文科省)

文部科学省は、経済協力開発機構(OECD)から、「デジタル世界における幼児教育・保育(Early Childhood Education and Care in A Digital World)」調査研究プロジェクト(2021~2023年)の成果として取りまとめられた『OECD 幼児教育・保育白書第7部」が公表されたと、発表した。

「デジタル世界における幼児教育・保育」調査研究プロジェクトは、2021年から2023年にかけて実施され、幼児教育・保育施設がデジタル化に対応し、デジタル化に関連するリスクを最小限に抑えながら、質が高く公平な幼児教育・保育を促進する方法について明らかにすることを目的としている。

また、子供たちが、デジタル時代で活・学習する際に役立つスキルを明らかにし、幼児教育・保育の質を高めるためにデジタル技術を有効活用できるよう、幼児教育・保育関係者全体で整備すべき方策を検討し、デジタル環境における子供の保護とデジタル化の恩恵を公平に受けられるために幼児教育・保育が果たす役割を追求することを目指している。

日本は、調査研究の政策調査に対して、幼稚園、保育所及び認定こども園に関する現状等について回答。また、園の事例提供や専門家とのウェビナー会議にも参加した。

【報告書構成】

第1章 デジタル化に対応した幼児教育・保育の実現:政策ロードマップ

第2章 幼児教育・保育のデジタル化:動向と課題

第3章 デジタル環境における幼児の保護

第4章 デジタル時代における幼児教育カリキュラムとペダゴジー(教育学)

第5章 デジタル時代における幼児教育・保育人材

第6章 デジタル時代の幼児教育・保育における家族、地域との関わり

第7章 デジタル時代の幼児教育・保育における公平性と包摂性の促進

第8章 デジタル時代の幼児教育・保育におけるデータとモニタリング

付属資料(ケーススタディー集など)

カントリー・ノート

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グローバル・スタートアップ・キャンパスFS拠点を公募

文部科学省は、内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室で検討している「グローバル・スタートアップ・キャンパス」のフラッグシップ拠点(仮称)整備に係る基本計画策定に関する調査・検討事業の公募を開始したと発表した。

大学強化とスタートアップ強化はイノベーションの両輪であり、質の高い基礎研究から生まれた新しい技術の潜在力を、世界を席巻し得るビジネスにつなげる必要がある。経済財政運営と改革の基本方針2022(令和4年6月閣議決定)等でも、革新技術の研究開発とスタートアップ創出を行う拠点づくりを海外の大学等とも連携し、民間資金を基盤として運営される形で進めることが記載されており、昨年8月、政府は内閣官房にグローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室(GSUC推進室)を新たに設置している。

現在、GSUC推進室で、わが国のイノベーション創出を強化する観点から、海外大学とも連携しつつ、ディープテック分野に特化した研究機能とスタートアップ・インキュベーション機能を兼ね備えたグローバル・スタートアップ・キャンパス(GSUC)の整備について検討を開始している。

GSUCでは、基礎研究からスタートアップの創出までを海外大学との連携のもとに行うことが期待され、このような連携の中核となるフラッグシップ拠点を整備することが検討されている。拠点の整備に当たっては、政策目的を実現するために十分国際的に通用する施設である必要がある一方で、昨今の厳しい財政状況等を勘案し、国民への説明責任を十分に果たすことができるものである必要がある。

これらを踏まえて、GSUCフラッグシップ拠点(仮称)整備に係る基本計画策定につながる調査・検討事業を実施することとしている。