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高い知的障がい者の若年認知症発生率 岡山大研究Gが解明

岡山大学病院精神科神経科の竹之下慎太郎助教、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)精神神経病態学の寺田整司准教授らの研究グループは、社会福祉法人旭川荘の桑野良三医師らと共同で、知的障害がある方における認知症の実態について全国的な調査を実施した。研究では、知的障害がある人は、これまでに認識されていた以上に、認知症が若い年齢から高率に生じることが分かった。この研究では、認知症の有無と〝教育期間の短さ、高血圧、うつ病、脳卒中、外傷性脳損傷〟が関連していた。このことから、知的障害がある人の認知症予防は、これらのポイントに注目して行うことが重要である可能性が示された。この研究の成果は、「Alzheimer’s Research & Therapy」電子版に掲載された。

■発表内容□

<現状>

人口構造の変化によって我が国が直面化している高齢化問題の中で、知的障害がある人も認知症に関連した困りごとが増加している。知的障害がある人の認知症をどのように支援すれば良いかというテーマに、現場の家族や施設職員は直面化してきたが、「知的障害がある方の中で認知症にかかっている方の割合」や、「認知症を予防するには何に注意するべきか」ということを調査した研究は少なく、支援の基礎となる情報が不足していた。

<研究成果の内容>

北海道・茨城県・千葉県・群馬県・兵庫県・岡山県・広島県・徳島県から、九つの社会福祉法人に協力を依頼した。20歳以上で、知的障害があり、施設で入所生活をしている人など合計1831名を対象に調査を行った。各年齢層の認知症有病率は60〜64歳が8.8%、65〜69歳9.0%、70〜74歳19.6%、75〜79歳19.4%と、日本の一般人口と比較して、若い年齢から高率に認知症にかかっていることが判明した。

また、認知症の有無と「教育期間の短さ、高血圧、うつ病、脳卒中、外傷性脳損傷」が関連していた。このことから、知的障害がある人の認知症予防は、これらのポイントに注目して行うことが重要である可能性が示された。