文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
尿で子宮頸がんを検査 恥ずかしさ減少でがん撲滅の糸口に 早稲田・金沢医大・独がんセンター

早稲田大学

早稲田大学と金沢医科大学、独がん研究センターのグループは、子宮頸(けい)がんの前段階の患者の尿から病因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のたんぱく質検出に成功した。尿で検診することが可能となれば、自身で採取したものを病院に送付するだけで、病状を確認できる可能性がある。

子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、日本では年間で約1.1万人がかかり、およそ2900人が亡くなっている。原因はHPVの感染であり性感染する。若者にとって検診は恥ずかしく、なかなか受診率の向上がみられない現状がある。

グループの伊藤悦郎・早稲田大教授らは微量のたんぱく質を高感度で簡単に測定する「TN-cyclonTM」法を生み出してきた。これに磨きをかけて、市販の同方法で検出するキットと比較して100倍の高い感度にした。がん化するリスクが高いHPV16型のE7たんぱく質を見逃さない方法を確立している。

効果を調べるため、前がん状態の患者45人の尿を採取し、子宮頸がんか前がん状態化をチェックし、HPVの型も決めた。高リスク型のHPV16型が含まれていることを確認している。

研究グループは「病院に行って医師に診てもらう検診よりも、自身で尿を採取し提出することのほうが抵抗は少ない」と説明。「このように検診のハードルが下がれば、子宮頸がん撲滅の糸口となる」と評価している。