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アリは自らの巣の大きさをどのように知るのか? フェロモンで認識すると提示 琉球大など7団体

トゲオオハリアリ

琉球大学など7集団による研究チームは、アリが自身のコロニーの大きさを知覚する仕組みを解明した。他の社会性昆虫での研究が期待されている。学術雑誌「Biology Letters」誌に19日付で掲載された。

これまでコロニーのメンバーがどのように大きさを知覚するのかは未知であった。グループはコロニー全体を俯瞰(ふかん)するのではなく、それぞれが適切な振る舞いを実現されるという自己組織化がコロニーサイズ知覚の裏にあるのではないかと推測した。

研究では沖縄に生息する「トゲオオハリアリ」を使用。この種の女王アリは定期的に巣内を歩き回りパトロールをして、働きアリに女王フェロモンを提供している。女王は巣が大きくなるほど多くの時間を見回りに費やしており、コロニーサイズの変化を認識しているとしか考えられなかった。

研究グループは女王がいる巣とそうでないものを用意。女王フェロモンに触れないと産卵を始める働きアリが、卵を産み始めたころにそれぞれの巣のアリを25、50、0%の割合で交換した。交換率が高いほど女王はパトロールに多くの時間を割くと推測して、その通りであった。

これは女王がコロニーの大きさではなく、卵巣が発達したアリの存在に対して時間を変えていることを示しているという。

研究を主導した辻教授らは「社会性昆虫がコロニーサイズを間接的に知覚する仕組みについて、世界で初めて説得力のある証拠を示したもの」と評し、「他種を用いた今後の比較研究が待ち望まれる」と説明している。