理化学研究所と産業技術総合研究所の共同研究チームは、プラスチック表面に微生物が村のように群集を形成する要因を解明した。海洋で使われるロープやブロックなどの設計材料に貢献できるという。
微生物も人間と同じように住み着きやすい物質に、多く存在するという特性がある。
研究チームは鶴見川河口の微生物群を利用。プラスチックなどが重合した「オリゴマー」の分解試験を行った。
オリゴマーが香料などに使われる「アジピン酸」を多く含むほど速く分解されたのに対し、有機物の不完全燃焼で発生する「芳香族化合物」を含むものには反対の傾向がみられた。一方、親水性の高いオリゴマー表面には、それを栄養源とできる微生物が多い傾向にあったという。
オリゴマーと微生物の種類の関係が必然であるかを評価するため、試験で得られたデータを解析した。その結果、分子運動性と親水性の高いオリゴマー表面に、そうした微生物が生息するのは必然だが、分子運動性と親水性が中間程度のものにいる生物は偶然によって決まることが分かっている。
研究グループは「本研究の成果は、材料表面の物理化学特性を制御することで、そこにすみ着く微生物のメンバーを制御できる可能性を示している」としている。