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口くうサンプルで遺伝性ジストニアを確認 新たな診断ツールとして期待 東北大

東北大学の菅野直人助教らの研究グループは、「遺伝性ジストニアDYT-KMT2B」の患者と疾患を薬などでコントロールできている集団の口くう粘膜を用いた検査を行った。結果、たんぱく質「H3」の1つの状態である「H3K4me3」が患者群で低下していることを突き止めた。口くう粘膜による診断が可能となる可能性があるという。

遺伝性ジストニアは体の筋肉が意図せず緊張し、異常な運動を行ってしまう病気。病名の頭に遺伝子名DYT-をつけることが推奨されている。今回の研究は、KMT2B遺伝子異常によるジストニアを調べている。10万人あたり16人が遺伝性ジストニアを患っているとされる。

研究グループは解析で、皮膚の細胞などに違いを生じさせるRNAの量を調整する「エピゲノム」の中核となる「H3K4me3」に関して、遺伝子異常を起こしているKMT2Bに依存度が高くなり、ジストニアを確認できる細胞を探った。

その結果、口くう粘膜を構成する細胞が条件に該当した。疾患群とコントロール群で比較したところ、DYT-KMT2Bが少なくなっていた。この傾向はジストニア発症からの機関が短いほど顕著であったという。

グループは「これまでは診断のために次世代制御装置を用いた検索が必要でしたが、今後は口くう粘膜によるスクリーニングによって診断できる可能性がある」とコメントしている。