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薄膜型熱電デバ イスに応用可 鉄とスズの薄膜で10倍のネルンスト効果 東大

東京大学の黒沢駿一郎大学院生と肥後友也特任准教授らによる研究グループは、鉄(Fe)とスズ(Sn)を原料とする「トポロジカルカゴメ格子強磁性体(Fe₃Sn)」の薄膜を作製し、室温・ゼロ磁場で垂直に起電力が生じる「異常ネルンスト効果」を観測した。28日付の米科学誌「フィジカル・レビューマテリアルズ」に掲載されている。

トポロジカルカゴメ強磁性体は鉄とスズから構成されており、巨大な異常ネルンスト効果を示すことが報告されている。一方で、これを用いたデバイス作製で必須となる薄膜試料での熱物性の研究が行われておらず、高品質な試料における横型熱電応答の研究が望まれていた。

研究ではFe₃Snのエピタキシャル薄膜を作り、熱電特性を評価した。その結果、この薄膜が鉄などの強磁性体と比較して10倍大きなネルンスト効果を室温・ゼロ磁場下で示すことを確認している。

グループは「研究で見いだされた、トポロジカル磁性体における異常ネルンスト効果をゼロ磁場下で最大化させる手法は、より高性能な熱流センサーやエナジーハーヴェスティングデバイスの開発の上での重要な知見となる」と評価している。