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横断歩道を渡る集団、個人の意思で動けば柔軟で強固 京都工芸繊維大・長岡技術科学大・東大

実験イメージ

京都工芸繊維大学と長岡技術科学大学、東京大学の研究チームは29日、歩行者集団のバラバラな足並みが集団パターンを形成することを明らかにした。交通整理やロボットナビゲーションへの貢献が期待されるという。同日付の英科学誌の電子版に掲載された。

研究では24人からなる二つの集団が対面して歩いた時に、複数の列に分かれるという現象を調べた。実験ではビデオで歩行軌跡を撮影、加速度センサーでステップのタイミングを計った。さらに、電子メトロノームをスピーカーで流した場合とそうでない時の集団の動きを比較している。

その結果、音のガイドがある場合はステップの同期がみられたが、集団の空間構造を脆弱にした。他方で、ない場合には足並みがそろわないことが明らかとなっている。

ガイド音で生じる同調は、横方向の動きを少なくさせ単調なものにすることも判明している。つまり、横方向にも柔軟に移動し、頑健なレーンを形成するためには歩行者が自身のタイミングで行動する必要があるという。

チームは「集団での運動が通常は非同期的なものであることを示し、非同期性が個人の運動の自由さと多様性を生み出し集団の頑健性に寄与する」と講評している。