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ストレス関連疾患の治療法開発に新たな可能性 訓練で不安や身体症状改善 国立精神・神経医療センターと慶応大

慶応義塾大学

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の関口敦室長と慶応義塾大学の寺澤悠理准教授らの研究グループは、内受容感覚訓練が前部島皮質(AIC)の脳回路変化を誘導することを明らかにした。内受容感覚の訓練が、不安や身体症状を改善するメカニズムを解明する一助となりストレス関連疾患の身体症状の治療法開発への新たな可能性を示している。

内受容感覚は心拍や呼吸、消化管の動きなど体内のさまざまな部位からの情報の知覚だ。最近では、認知訓練によってこの感覚精度が向上することが示されている。AICはこの感覚を処理する脳部位でストレス関連疾患とも関連する。感覚異常が不安症や摂食症などとの関係が認められるが、これに対する訓練効果は未解明であった。

研究グループは健康な成人22人に1週間の内受容感覚訓練を行い、その前後で心理・行動的評価を実施した。また、MRI装置で脳画像を作成し、効果を検証している。

その結果、被験者の内受容感覚精度が向上し、不安レベルおよび身体症状が改善されたことが分かっている。さらに、AICと一部の脳部位の脳活動同期が強まったことが判明した。

研究グループは「内受容感覚訓練がAICを中心とする脳回路を変化させることで、不安や身体症状の改善に寄与する」と説明した。