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海洋大准教授らが深海熟成による魚肉の保存性と品質への影響を解明 海洋での広大な未利用資源である深海の有効利用と水産物の長期保存・品質向上への寄与期待

東京海洋大学食品生産科学科食品物性学研究室の高橋希元准教授のチームとアイディールブレーン㈱の共同研究によって、深海4000㍍と6000㍍での熟成が、魚肉の長期保存と品質向上につながることが明らかとなり、研究成果が国際学術誌に掲載された。

ここ数年、強いうま味や独特のテクスチャーを有するとして、熟成魚が注目されている。しかしながら、食中毒リスクや冷蔵時のエネルギー消費、貯蔵場所の確保等がその製造時に課題となっている。深海は低温かつ高圧が恒常的に維持される環境であり、この環境での魚肉熟成は長期熟成魚製造時の課題解決に加え、カーボンニュートラルやSDGsの実現にもつながると考えられてきた。そこで高橋准教授は共同研究先機関であるアイディールブレーン㈱の開発した「加圧加工システム」を利用。深海へ魚肉(カンパチ)を沈降させた際の保存性と品質について研究した。

深海熟成_熟成後試料の様子

〔研究内容と成果〕

真空包装したカンパチを水深4000㍍と6000㍍で約4ヵ月間熟成させた。陸上の研究室で熟成させた試料と比較して、深海で熟成した試料では一般生菌数の増加が抑制され、保存性向上が示された。特にその効果は水深6000㍍で高いことが明らかになった。また、深海で熟成させた魚肉では品質向上に関連するタンパク質分解の促進と、遊離アミノ酸含量の増加も観察された。

深海熟成_試料回収時の様子

〔今後の展望〕

低温・高圧環境である深海に魚肉を沈降することで、長期保存と品質向上が可能であることが本研究より示された。また本技術は熟成魚製造時での課題解決による水産物の有効利用および未だ人類が十分に活用できていない広大な深海の有効利用に寄与することから、海洋資源の持続的利用への貢献が期待される。