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1万種以上の樹木を解析 送粉・種子散布・菌根共生が互いに関連 京大調査

京都大学の山尾僚教授らは、世界の樹木の送粉様式、種子散布様式、菌根共生のタイプについてのデータベースを作成し、送粉共生、種子散布共生、菌根(きんこん)共生が互いに関わり合いながら進化している可能性を示した。成果は樹木の多様化や森林生態系の形成過程をひも解く新たな糸口になるかもしれない。

研究グループは植物―土壌フィードバック効果(※)を起こす菌根共生のタイプである「アーバスキュラー菌根菌(AM)」と「外生菌根菌(EcM)」と送粉共生、種子散布共生で生息領域を広げる植物が互いに影響しながら進化しているという仮説をたてた。

グループは共生のタイプが明らかになっている699種と菌根共生のタイプが推定される1万475種を対象に送粉様式(動物媒・風媒)と種子散布様式(動物散布、風・重力散布)を花や果実から推定。それら系統関係を考慮した分析を実施した。

その結果、AM樹種は、動物媒花と動物による種子散布様式を示す種が多く、EcM樹種は、風媒花と風や重力による種子散布様式である植物がたくさんいることが明らかになった。また、AM樹種は動物による送粉や種子散布を進化させやすく、EcM樹種は、風媒花と風や重力による種子散布様式を伸ばしやすいことが分かっている。

山尾教授らは「実験によって送粉共生、種子散布共生、菌根共生の関係性をより厳密に検証していく必要がある」とコメント。「樹木や森林生態系を健全な状態に維持するためには、樹木そのものだけではなく、送粉者、種子散布者、菌根菌を含めた包括的な保全策が必要となる」と説明している。

※植物―土壌フィードバック効果

土壌に植物が根付くと、植物周辺の土壌微生物相などが変化し、その影響が植物の生存や成長に影響する(植物へフィードバックする)現象。アーバスキュラー菌根樹種では、同種の生長を抑制する負のフィードバックが、外生菌根樹種では、同種の生長を促進する正のフィードバックが働きやすい