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グリーンランド周辺の雲量増加 硫酸エアロゾルが雲形成に関与する初成果 長崎大など

グリーンランドのアイスコア

長崎大学や北海道大学、名古屋大学の研究グループは、グリーンランドの氷床に保存されている硫酸エアロゾルと衛星観測による周辺海域の雲量や雲粒の数密度に関係があることを発見した。人為硫黄酸化物の排出最盛期である1970年代に、硫酸エアロゾルが雲粒を多く作ることで雲量が増加していたと解明している。

硫酸エアロゾルは、雲を増加させて地球表面を冷却する。この作用は放射強制力の推定と気候予測における不確実性の要因だ。これを減らすには、硫酸エアロゾルの役割について、直接的な証拠が必要だが、硫酸エアロゾルがこれまでどのくらい地球表面を冷却させてきたかの証拠はほとんど得られていない。

研究では過去の気候を分析できるグリーンランドのアイスコアを用いた。雲量や数密度を復元できる衛星雲データセットを使うことで、地球全体をカバーする空間と時間の解像度を実現した。アイスコアで分析することで衛星データがない1970年代まで調査できる。

それによると、グリーンランド周辺海域において夏の硫酸エアロゾル濃度と雲量に有意な相関があることを発見した。1970年代は2000年以降と比較して雲量は3%多かったとされている。過去30年間グリーンランド周辺で硫酸エアロゾルか雲形成に関与していたことを示す初めての観測結果だという。

研究グループは「将来に向けて人為起源硫黄排出の削減が続くと、雲量が減り地球温暖化が加速され続ける可能性がある」と指摘。「今後は観測を増やし、モデルの精度向上と地球温暖化のメカニズム理解につなげることで、予測の精度を高めたい」とコメントしている。