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20年間の森林とニホンザルの個体数の変動―934⼈の「ヤクザル調査隊」による成果(京大生態学研究センター)―

森林は伐採後、⻑い時間をかけて変化するので、そこにすむ⽣き物にどんな変化が起きるのかを解明するには、息の⻑い調査が必要。京都⼤学霊⻑類研究所(現・⽣態学研究センター)の半⾕吾郎准教授らのグループは、全国から⼤学⽣主体のボランティアの調査員を募って「ヤクザル調査隊」を結成し、毎年夏に屋久島でニホンザルの個体数調査を継続している。

20年間にわたる調査の初期にサルが多く、⾷物も豊富だった伐採地では、2010年代以降、サルが⾷べないスギが多く⽣えることになったことにより、ニホンザルにとっての⽣息環境が悪化した。

しかし、伐採地でのサルの減少は、2000年代前半には起こっており、多数のサルがたまたま同時に死亡したという偶然による変化が、⽣息環境の悪化によって強化されたことが分かった。

この研究は、野⽣動物の個体数変動は、偶然による変動と、環境の変化による決定論的なプロセスの両⽅が関与することを⽰している。

この研究成果は、8⽉3⽇に⽶国の国際学術誌「Forest Ecology and Management」にオンライン掲載された。