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世界最小記録更新 ワラジムシとハサミムシ、ギンリョウソウの種子を運ぶ 神戸大・北大・石川県立大

(上)エゾハサミムシ(下)ワラジムシ

神戸大学と北海道大学、石川県立大学の研究グループは、光合成をやめた植物「ギンリョウソウ 」の種子がワラジムシやハサミムシに食べられ、運ばれていることを明らかにした。体長8~11ミリメートルのワラジムシや11~16ミリのハサミムシは種子散布者の世界最小記録を更新するものだったという。9日付の英科学誌に掲載されている。

種子散布者の多くは鳥やほ乳類で、昆虫が関わることはまれだ。ギンリョウソウはカマドウマとゴキブリが種子を食べて、排泄(はいせつ)することで生息地を拡げる珍しい植物と知られている。だが、それら以外の虫も散布者としての役割を果たす可能性が指摘されていた。

研究では、ゴキブリが生息しない北海道のギンリョウソウをカメラで定期的に撮影。調べると、カマドウマやワラジムシ、ハサミムシが果実を食べに訪れていた。それら生物を持ち帰り、摂食実験を行い、糞中の種子が生きているかも調べた。

その結果、糞の中にはギンリョウソウの無傷の種子が含まれて生存していると判明した。これによりワラジムシやハサミムシも種を運んでいることが分かっている。グループは「種子散布者がこれまで考えられていたより多様であることを示し、見過ごされがちな小さな動物の生態系における役割を明らかにした点で重要な成果だ」と評している。