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アフリカの野生イネで雑種花粉の発育不全を起こす遺伝子を同定 品種改良へ貢献 北大

オリザ・ロンジスタミナータ

北海道大学の小出陽平准教授らの研究グループは、アフリカの野生のイネが持つ、雑種において花粉の発達が異常になる現象「雑種不稔(ふねん)性」の原因遺伝子を明らかにした。発育不全の全容解明や品種改良につながると期待されている。

グループはアフリカの野生イネ「オリザ・ロンジスタミナータ」とアジアの栽培イネを交雑。得られた雑種とアジアの栽培イネとの交配を繰り返した。すると、花粉の発育課程に異常が生じることが判明。遺伝子座S13が原因と推測された。

ゲノム編集によりS13が存在する遺伝子(OlCHR)の欠損個体を作り、同様の雑交をしたところ不稔性が生じないことが分かった。OlCHRは種子ができないようにしてしまう必須遺伝子と確認されている。

小出准教授らは「イネ属の中には他にも多くの雑種不稔遺伝子が存在し、交雑による品種改良の妨げとなっている」と指摘。「今後も研究を続け、雑種における花粉の発育不全の全容を解明したい」と力を込めている。