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新規転移因子を新種の線虫から発見 遺伝子導入などへの応用に期待 東北大

シノラブディティス・イノピナータ

東北大学の杉本亜砂子教授らの研究グループは、新種の線虫「シノラブディティス・イノピナータ」(C. イノピナータ)から遺伝的多様性に寄与する因子であるトランスポゾンを発見した。生物の進化に及ぼす影響について貴重な手がかりになるという。遺伝子導入やゲノム改変ツールとしての応用も期待できる。

トランスポゾンはゲノム上を移動できるDNA配列。この増幅や転移は遺伝子発現に影響を与えたり、変異を引き起こしたりする。

グループはC. イノピナータのゲノムから、活発に転移する自律性トランスポゾンとその近縁、これらから派生したと推測される1000コピー以上の非自律性トランスポゾンを発見したという。また、それらが付近に位置する遺伝子の転写活性を高める傾向があることも明らかにしている。

杉本教授らは「トランスポゾンが増幅と転移を介してゲノム全体で遺伝子の発現パターンの変化を引き起こし、形質進化を促進し得ることを示唆した重要な発見だ」とコメントしている。