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新しい乳がん診断法であるCTS法の臨床試験を開始 手術中の迅速診断を効率化 大阪大など

CTS法による乳がん症例における蛍光画像

大阪大学の多根井智紀講師らの研究グループは、理化学研究所が開発した化学プローブの試薬を用いて、乳がんの生組織に直接染色を行う新しい乳がん術中迅速診断法(CTS法)を開発した。その臨床性能試験を開始している。

研究グループは、医療機器大手のシスメックスが製造したがん細胞のみ染色できる「CTSプローブ」を用いた乳がんの診断に関する臨床試験を開始した。このプローブはがん細胞で発生する「アクロレイン」を発光させられる技術だ。

手術中に迅速診断を行う場合には多くの手間や人手が必要だが、今回のCTS法は術中に生組織を染色して蛍光画像を判定する診断法であり、そうした労力が必要とせず効率的に作業を進めることができる。

多根井講師は「手術中の乳腺断端の診断については、確立された測定方法はなく、病理医の不足などの理由から手術中に乳腺断端の診断を行っていない病院が多く存在する」と指摘。一度で手術が終わらない問題があり、「CTS法は、このような長年の課題に対する挑戦から生まれた研究」だと説明している。