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野生のトマトが高い光合成能力 気温が高く雨量が多いほど速度が速い 東大と玉川大

東京大学の矢守航准教授らと玉川大学のチームは、野生種トマト8種と栽培種トマト2種の光合成特性を比較調査した。その結果、一般的な栽培種よりも優れた光合成能力をもつ野生種トマトを発見している。光合成に必要な二酸化炭素(CO₂)は気孔を介して葉内に取り込まれるが、光合成能力の高い野生のトマトは小さい気孔を多くもつことを明らかにした。

人口の増加による膨大な食料需要に対応するため、食料生産性の向上は人類にとって最も重要な課題になると考えられている。作物生産性と密接に関連しているのが光合成だ。近年では優れた光合成能を持つ野生種を発見しようという研究が進められているが、これらの研究例はイネなどの穀類に限られている。

矢守准教授らは南米のアンデス地方とガラパゴス諸島に自生する野生種トマト8種と栽培種トマト2種を栽培した。それぞれの光合成力を測ると野生種が栽培種よりも光合成速度とCO₂輸送の効率を上昇させていた。

また、気孔サイズと密度の測定をすると小サイズで高密度の気孔をもつトマトが、光合成速度の最大値の半分に到達するまでに要した時間が短かったことから、優れた光合成能力を発揮するという関連性も明らかにしている。孔辺細胞の体積が小さいと気孔の開閉が素早く行われると考えられている。

さらに、年間降水量が多い環境に自生する野生トマトは気孔密度が高くなる傾向があった。標高が高く、平均気温が低い環境で暮らす野生トマトは、光照射に対する光合成速度の上昇が鈍いことも分かっている。これは、平均気温が高く雨量も多い環境で生きるほど優れた光合成速度を現すことを示している。

研究チームは「野生種トマトの利活用を通して、トマト育種の可能性を大きく広げる発展的な研究成果が得られた」と評価している。