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アルコール代謝物「アセトアルデヒド」がDNAを傷つける がん細胞で見られる染色体異常確認 TMiMS

東京都医学総合研究所ゲノム動態プロジェクトの笹沼博之プロジェクトリーダーらは、アルコール代謝産物「アセトアルデヒド」が、DNAを傷つけることを発見した。疾病の防止に寄与する知見を提供している。

研究では、特に細胞の中にあるDNAに対してアセトアルデヒドがどのように作用するかを調べた。細胞にはDNA損傷の種類に応じて複数の修復経路が存在する。その1つである相同組換え経路に「RAD54遺伝子」が機能するとされる。

RAD54欠損細胞では相同組換え修復が起こりにくいため、研究グループはその要因を探るため正常細胞とRAD54欠損細胞に対して、アセトアルデヒド処理を行い細胞の様子を観察した。

その結果、RAD54欠損細胞では、正常細胞に比べてアセトアルデヒドに対して死にやすいことが分かった。このことは、相同組換え修復を必要とするDNA損傷がアセトアルデヒドによって発生していることを意味している。

また、アセトアルデヒドを処理した細胞では、がん細胞で頻繁に観察される異常な染色体構造が認められている。

研究グループは「アルコール健康障害対策、とりわけ過剰摂取による疾病予防を考える上

で重要な科学的知見を提供する」と説明している。